めんどくさがり屋の生徒がプログラミングを学んたら

「めっちゃめんどくさい!」

「そんなことをしないといけないの、めんどう!」

毎週金曜日の生徒。いつも授業中プログラミングをしながら口癖のように抗議してきます。

※写真の生徒は記事に登場した生徒ではありません。


中学生3年生の男の子です。将来やりたい仕事はSE(システムエンジニア)です。プログラミングを始めたのが2年前。ほとんど休まず毎週プログラミング教室に学びに来ています。コツコツ勉強をしてきました。彼は決して優秀とはいえません。小学校で習った数学の計算もできないことが多いです。恐らくめんどくさがり屋なので、学校の勉強はとりあえず適当にやっている感じです。

彼は、プログラミングするときも、手間がかかることが好きではないようです。「めんどくさい」と毎回ブツブツ言っています。しかし、面倒なのでプログラミングをやめるかというと、やめません。やはり彼の心の中にSEになる夢があるからではないかと私は思います。そして、ほんの少しかもしれませんが、毎回自分が書いたコードが動いたのを見てできたときの喜びを味わったのではないかと思っています。

彼を教えて思ったことがあります。

彼は、「めんどくさい」と言っていることは、実に素晴らしいことです。「めんどくさい」と口にすることは、彼は自分が何をしないといけないかを知っているからです。普段遊んでいるゲームの仕組みや、何気なく使っている便利の機器の仕組みが、わかるようになったから「作るのがめんどくさい」と言えます。私は、彼の「めんどくさい」を「わかりました。作るのにちょっと時間がかかるな。」と受け止めています。

彼は、普段気づいていない当たり前のことから新しい発見ができました。そこまでしないといけないかと気づきました。例えば、成績を入れる枠と処理ボタンを作ったとします。普通に考えると、点数を入れて処理を進めばいいですが、実際にプログラミングするときはそう簡単にはいかないです。もし何も入力せず処理ボタンをクリックしたらどうなるの?もしマイナスの点数を入れたらどうなるの?もし数字ではなく文字を入れたらどうなるの?たくさんの「もし」を考えなければならないのがプログラミングです。だから、プログラミングは難しいより細かいです、面倒です。しかし、その細かい考え方が非常に重要で、プログラミング的思考の一部だと思っています。

彼は、プログラミングを学ぶことで、自分の足りない勉強が見えてきました。先週授業の時、比率と割合の計算を使った制作課題がありました。小学校で習ったはずですが、中3の彼はそれらの計算がわからなかったです。彼は学校で真面目に勉強していないかもしれませんが、なぜ比率の学びが必要かわからなく、めんどくさいと思っているのではないかと私は推測しました。しかし、アプリ制作で、画像や動画のサイズを同比率で縮小しないといけない課題に直面すると、自然に比率の計算を学ばなければならないことに彼は気づきます。目的があるからこそ、学びの意欲があります。学校で習った知識はどんな時使えるかをもっと生徒に示さないといけないなと感じました。

子どもたちはたくさんの失敗から、プログラミングを学んでいます。めんどいかもしれませんが、その面倒さの中に、プログラミング的思考の学びがあります。


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